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ライナスの毛布の心理学【実はあなたの身の回りにもあふれてる】

[最終更新日]2022/06/07

こんにちは、伊庭和高です。

本日はライナスの毛布(安心毛布)について取り上げます。

 

自分がライナスの毛布を持っている場合も、

あるいは周りに持っている人がいる場合も、

どちらの場合でも活用できる内容です。

 

また私はぬいぐるみ心理学を提供していますが、

ぬいぐるみ心理学の理論を確立する上でも、

ライナスの毛布の考え方は大きな土台になっています。

 

私自身もオリジナルぬいぐるみを販売していますが、

ぬいぐるみが好きな方もそうでない方にも好評です。

 

特に触り心地については好評をいただいていますが、

一緒に寝ているという声もいただいており、

まさにライナスの毛布の様な役割を果たしています。

 

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ライナスの毛布とは

そもそもライナスの毛布とは何なのか。

 

ライナスの毛布の別名は「安心毛布」であり、

「それがあるだけで安心感を感じられる対象のこと」を指します。

 

特に乳幼児(6ヶ月〜1歳)の頃から

安心毛布を求め始めると言われており、

イギリスの小児科医・精神科医のウィニコットが提唱し、

心理学の分野で広く使われている言葉です。

 

ライナスの毛布の語源は、

スヌーピーに登場するライナス君。

 

彼はいつも肌身離さず毛布を持っているので、

そこから「ライナスの毛布」という名前も誕生しました。

そしてライナスの毛布とは何かを知る上では、

移行対象という理論についても知ることが大切です。

 

「乳幼児が特別な愛着を寄せる対象物」

のことを移行対象と呼んでおり、

これもウィニコットが提唱した考え方です。

毛布やタオルやぬいぐるみや人形が

移行対象になり得ると考えられており、

乳幼児は移行対象があると安心し、

それがないとひどく不安を抱くのです。

 

要するに「ライナスの毛布」とは、

移行対象の1つの候補なのです。

 

それが毛布の人もいればぬいぐるみの人もいる。

 

いずれにしても子供が特別な愛着を寄せている対象物だということです。

移行対象との関わりがいつから始まるのか。

 

これは個々人によって違いがあるのですが、

早い場合は生後6ヶ月〜1歳の頃に関わりが生まれ始めます。

 

ハイハイをしたりと子供が母親の元を

物理的に離れられる様になり始めた時、

母親という一番安心できる存在から

離れることの不安を軽減させてくれるのが移行対象です。

 

そのため子供は自分で移動する時も

移行対象を持ち歩こうとすることがありますが、

お母さんと一緒にいるかの様な

愛着や安心感を感じるためだと言えます。

 

ライナスの毛布を与える効果

ここまでライナスの毛布の概要を、

移行対象という理論も交えてお伝えしました。

 

ここからはライナスの毛布を与えることの効果。

 

「なぜライナスの毛布や移行対象が良いのか?」

 

「子供にライナスに毛布を与えると、どの様な効果があるのか?」

 

これらについて心理学の視点から解説します。

 

人間関係の形成に良い影響を与える

子供が成長する中で様々な人と関わりますが、

移行対象との関わりが十分に持てていた場合は、

人間関係の形成に良い影響を与えると考えられています。

 

私の著書『ストレスフリー人間関係』でも詳しく解説していますが、

母親の次に愛着を示す存在が移行対象なので、

移行対象を単なる物としてではなく、

生きているかの様に見立てて関わっているのです。

 

単なる毛布なのに、「●●ちゃん」と名付けたり、

移行対象に話しかける子供もいますが、

生きているかの様に見立てているからこそと言えます。

 

例えば夫婦共働きで子供と接する時間が少なくなったとしても、

移行対象との関わりが十分に持てていれば、

両親が不在の時間が長くても、

子供は親と一緒にいるかの様な安心感を感じやすくなるのです。

ちなみに文化人類学の分野では、

「アニミズム」という考え方があります。

 

「生きているかどうかに関係なく、すべての物に魂が宿っている」

 

これがアニミズムの考え方です。

 

銅像を人に見立てて儀式を行ったり、

食器や棚などに心があるかの様に見立てる人がいますが、

これはアニミズム的な考え方だと言えます。

 

そしてアニミズムの考え方からも、

移行対象という単なる物であるものの、

魂が宿っているかの様に見立てて関わる行為は説明できます。

 

子供が何を求めているのかが理解できる

親の目線に立って考えると、

子供が移行対象とどの様に関わっているかを見ることで、

子供が何を求めているのかを理解することができます。

 

実際心理学の研究においても、

子供が誰か(親、友達など)からしてもらいたかったことを、

移行対象に向けて表現しているケースが紹介されています。

下の子供が生まれて、

もっと自分に構ってほしい気持ちを、

大事にしているクマの人形に話しかけたり…

 

母親ともっと話したいという気持ちを、

大事にしている毛布に話させるという形で

母親に伝えて来たり…

 

子供の心理状態を親が読み解く上でも、

移行対象とどの様に関わっているかを知ることは重要です。

 

移行対象の理論を提唱したウィニコットも、

移行対象にはすべての感情をさらけ出すので、

親が子供の心の中の世界を知る助けになると述べています。

 

マイナスな感情を吐き出せる

不安や不満、怒りや悲しみ等のマイナスな感情を、

移行対象に向けて吐き出すことがあります。

 

マイナスな感情を誰にも言えず、

自分の心の中だけでため込んでしまえば、

結果として問題行動を引き起こす可能性もあります。

 

また子供の場合、上手く言語化できなくても、

マイナスの感情を抱いてしまうことはあります。

誰にも言えないと思っていたり、

自分の心の中で隠して来た感情を、

移行対象にだけは素直に吐き出せる。

 

自分自身の感情を安定させる上でも、

移行対象との関わりは効果を発揮します。

 

幸福感が増す

最近の研究ではぬいぐるみや抱き枕に触れることで、

オキシトシンというホルモンが脳内で分泌されることがわかって来ています。

 

オキシトシンの別名は「幸せホルモン」

 

幸福感や安心感や癒しを感じられる

ホルモンだと言われています。

子供も大人も関係なく、

移行対象と関われば関わるほど、

幸福感が増していく効果があります。

 

触れて遊んでみたり、

枕元に置いて一緒に寝てみたりと、

意識して関わりを持つことは大切です。

ここまで効果の一例を紹介して来ました。

 

毛布やタオルやぬいぐるみといった移行対象を子供に積極的に与えられるかどうか。

 

また子供が移行対象と関わるのを妨げることがないかどうか。

 

親の目線に立てば、これらが非常に大切だと言えます。

 

移行対象は毛布でなければいけないの?

「どの様な移行対象を子供に与えれば良いのか?」

 

親御さんからこの様な質問を受けることがありますが、

基本的にはどの様なものでも大丈夫です。

 

子供が自分の意思で選べる様になって来たら、

子供が望むものを買い与えるのが良いですが、

乳幼児の頃は自分が何を望んでいるかわからないでしょう。

また心理学の分野においては、

「うさぎ」は移行対象になりやすいと言われています。

 

・怖くなくて優しそう

・ふわふわしてそう

・暖かそう

 

こうしたイメージを持ちやすいとされ、

うさぎは移行対象になりやすいのです。

 

基本的には何を与えても良いのですが、

何を与えようか迷った際には、

うさぎの毛布やぬいぐるみを与えることをオススメします。

ちなみにこの記事のタイトルには

「毛布」という言葉を使っていますが、

決して毛布でなければいけないことはありません。

 

タオルやブランケット、ぬいぐるみ等も

移行対象になり得ます。

 

ライナスの毛布はいつまでOKか?

さて、ライナスの毛布について述べて来ましたが、

今回の話は決して子供を対象にしたものだけではありません。

 

「ライナスの毛布はいつまで持たせておけば良いのか?」

 

この様な質問を受けることもありますが、

大人になってから持ち続けていることは普通にあります。

毛布やぬいぐるみやタオルなど移行対象と呼ばれる物は、

その人が母親の次に愛着を感じている対象物です。

 

移行対象の前では安心できたり、

不安な気持ちを軽減させることができます。

 

そのため乳幼児期に出会った移行対象を

成長しても持ち続けていることがあります。

 

もうボロボロになった毛布を

大事そうに持ち続けていることがありますが、

移行対象は単なる物ではなく、

自分にとって安心感を感じられる存在だからこそです。

また物を変えながら、移行対象を持ち続けているケースもあります。

 

幼い頃はタオルを大事にしており、

小学校の頃は犬のぬいぐるみ、

中学高校では猫のぬいぐるみ、

大人になってからはクマの抱き枕。

 

こうしたケースは非常に多いです。

 

実際、子育てについての相談を聞いていて、

「実は私も子供の頃の毛布を持ってます」

と告白される親御さんもいます。

「移行対象はいつまでに卒業しないといけない」

 

この様な目安はありませんし、

大人になっても持ち続けていても変ではないのです。

 

むしろ大人になってからも

安心感を感じ不安を吐き出せる対象が

身近に存在するというのは良いことです。

 

「ライナスの毛布は大人も持っていることがある」

この視点も忘れずにいてください。

 

ただし場合によっては、

大人になってライナスの毛布を持つことが、

愛情不足の表れであることもあります。

 

愛情不足になってしまう4つの共通点は、

別の記事で詳しく解説しているので、

気になる場合は読んでみてください。

 

ライナスの毛布を取り上げてはいけない

そしてここまでの話を踏まえ、

非常に重要なことをお伝えします。

 

ライナスの毛布の様な移行対象は、

周囲が勝手に取り上げてはいけません。

 

それこそ親が子供の移行対象を捨てるのは

絶対にやってはいけないのです。

ライナスの毛布を取り上げることで、

どの様なリスクがあるのか?

 

私はこれまで5,000名以上のお客様と関わって来ましたが、

ライナスの毛布を取り上げられてしまった方は、

成長してから「人間関係のトラウマ」が残ることが多いのです。

例えば関本さん(30代女性・仮名)は、

物心つく前から猫のぬいぐるみを大切にしていました。

 

彼女にとっては猫のぬいぐるみが、

ライナスの毛布の役割を果たしていたのです。

 

ところが猫のぬいぐるみで遊ぶほど、

ぬいぐるみが汚れてしまいます。

 

汚れていくぬいぐるみを見て、

彼女の両親はぬいぐるみを処分することにしたのです。

ある日のこと。

起きたら猫のぬいぐるみがなくなっていました。

 

親にぬいぐるみの場所を尋ねたものの、

「どこかに旅立った」とごまかされてしまいます。

 

彼女は大きなショックを受けました。

 

「どれだけ大事にしても、いつかいなくなってしまう」

 

「深く関わると、その分だけ傷ついてしまう」

 

こうした感情を抱いたこともあり、

その後の人間関係でも深く関わることができなくなってしまいました。

浅い関係は築けるものの、

特定の友達と親友と呼べるまで仲良くなることはできない。

 

恋愛においても、付き合うことができない。

 

「深い関係になる」ことで傷つくのを恐れ、

自ら踏み込んでいけなくなってしまったのです。

 

大人になった今もこの状態は続いているのですが、

まさか人間関係の悩みの根本原因が、

猫のぬいぐるみを捨てられてしまったことだとは、

彼女も思いもしなかった様です。

関本さんのケースを紹介しましたが、

子供のライナスの毛布を勝手に取り上げてはいけません。

 

子供の許可なく捨てたりすれば、

その後の人間関係に大きなトラウマを残す可能性もあります。

 

移行対象は母親の次に愛着を感じられる存在。

例えるならば、ある日突然に親友がいなくなる程の衝撃を受けるのです。

 

「ライナスの毛布はやめさせないといけないのか?」

 

こうした相談が寄せられることもありますが、

子供が自ら手放すまでは、

ライナスの毛布は子供のそばに置いていくことが大切です。

 

ライナスの毛布を活用すればどんな悩みも解決する

ここまでライナスの毛布について解説しましたが、

子供だけでなく既に大人になった場合でも、

ライナスの毛布を今も持っているケースはあります。

 

「子供の頃から大事にしている毛布がある」

 

「いつも一緒のぬいぐるみがいる」

 

「抱き枕を使って寝ている」

 

これらはライナスの毛布になりますし、

大人になっても関わっている人は多いです。

私はぬいぐるみ心理学を提供していますが、

私はぬいぐるみを広く定義しています。

 

人形、抱き枕、クッション、毛布等も、

広い意味ではぬいぐるみと同じです。

 

今回紹介したライナスの毛布についても、

私の中では広くぬいぐるみとして定義しています。

ぬいぐるみと意識して関わることで、

悩みが解決し本当に望む毎日を手に入れることができる。

 

これがぬいぐるみ心理学です。

 

仕事でもプライベートでも、

どんな悩みであってもぬいぐるみと関わることで

悩みが根本から解決へと向かいます。

 

・大事な場面で自分の意見が言えない

・周りの目を気にしてしまう

・つい相手に合わせてしまう

・嫌われるのが恐い

・怒られたり否定されるのが恐い

・失敗を恐れて行動できない

 

例えばこの様な悩みであっても、

ぬいぐるみと意識して関わっていくことで、

解決へと向かっていきます。

「移行対象は母親の次に愛着を示す対象」

 

赤ちゃんは母親に100%本心をさらけ出しますが、

移行対象には母親の次に愛着を示すからこそ、

ほぼ100%自分の本心をさらけ出してしまいます。

 

心理学の視点から見ると、

ぬいぐるみや毛布、タオル等は、

単なる物なのに生きている存在として認識してしまうのです。

 

他の人には言えない様な不安や悩みを、

移行対象にはさらけ出していること。

 

大人も子供も関係なく、

これらは普通にあります。

ライナスの毛布は別名「安心毛布」と呼ばれています。

 

その名の通り、自分が100%安心できる対象であると言えます。

 

具体的にどの様に関わっていくのかや、

ぬいぐるみ心理学の理論の詳細については、

無料メール講座で解説しているので、

合わせて学んでみてください。

 

今回紹介したライナスの毛布についても、

意識して関わっていくことができれば、

日常でも変化を実感できる様になります。

 

本日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました!

このコラムの執筆者

伊庭 和高

伊庭 和高(いば かずたか)

         

千葉県千葉市出身。
2人兄弟の長男として生まれ、幼い頃から50体以上のぬいぐるみがある部屋で育つ。
早稲田大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。
在学中は教育学、コミュニケーション、心理学に専念する。
人間関係の悩みを根本から解決する有効な手法として、ぬいぐるみ心理学という独自の理論を開発。
これまで7年間で5000名以上のお客様にぬいぐるみ心理学を提供。性別・年齢・職業を問わず多くが効果を実感しており、日本全国はもちろん、世界からも相談が後を絶たない。
2014年10月から始めたブログは、今では1000以上の記事があり、月に13万以上のアクセスがある。
心理コミュニケーションアドバイザーとして、受講者とぬいぐるみ心理学を通して実践的な関わりを続け、それぞれの「望む未来」の実現の手助けをしている。
2020年、初の著書『ストレスフリー人間関係〜ぬいぐるみ心理学を活用してあなたの人間関係の悩みを活用する方法〜』を出版。増刷しロングセラー中である。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を発売。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページでぬいぐるみ心理学が特集されるなど、活動の幅が広がっている。