8Oct
[最終更新日]2024/10/08
こんにちは、伊庭和高です。
私はぬいぐるみ心理学を開発し、
これまで7000名以上のサポートをしたり、
著書の出版やメディア出演等をしてきました。
その中で近年ブームになっているのが、
推し活とぬいぐるみです。
推し活とは二次元三次元を問わず、
アイドルやアーティストやキャラクターを応援することです。
「推し」という言葉はここ数年で、
急激に認知されていますよね。
そして推し活の一環として、
推しのぬいぐるみグッズを買ったり、
自分で作ったりしているのです。
推しのキャラそのままのぬいぐるみや、
推しを動物等に見立てたぬいぐるみや、
ぬいぐるみのストラップ等、
その種類は非常に多いです。
「推しぬい」とも呼ばれていますが、
専用のポーチ(ぬいポーチ)に入れたりと、
持ち歩く人もいます。
また自分で服を作り、
ぬいぐるみを着せ替えている人もいます。
今回は推し活でぬいぐるみを持つ人の心理背景を、
独自の視点から解説します。
推し活でぬいぐるみを持つ人の心理
「ぬいぐるみは子供が遊ぶものでしょ?」と思う人もいます。
しかし実は現代ではむしろ、
大人の方がぬいぐるみを持っていると言えます。
一般社団法人日本玩具協会が2024年7月に、
『玩具市場規模データ』を発表しました。
毎年の様に発表されているデータなのですが、
その中で玩具の中でもぬいぐるみの市場規模は、
おおむね年々拡大傾向にあることがわかりました。
2023年度390,6億円
2022年度323,5億円
2021年度279,7億円
2020年度263,1億円
2019年度267,3億円
2018年度262,6億円
2017年度249,9億円
2016年度234,1億円
これがぬいぐるみの市場規模であり、
特に推し活が注目されたここ数年は、
伸び率も高まっていると思います。
そもそも少子化が進んでいるので、
もしぬいぐるみを子供しか買わないなら、
市場規模は減少しているはずです。
市場規模が拡大傾向にあるということは、
子供だけでなく大人がぬいぐるみを購入しているからだと考えられます。
単なるおもちゃではなく、
インテリアとして活用されている例もあります。
また今回のテーマである推し活で、
ぬいぐるみを持つ人が増えているのも理由でしょう。
「それでは一体なぜ推し活でぬいぐるみを持つのか?」
心理背景を解説します。
愛情の投影
推しのぬいぐるみを持つことで、
いつも推しと一緒にいられる感覚が得られます。
推しに見守ってもらえる様に感じたり、
推しを応援している感覚を常に抱けます。
まさに推しに対する愛情を、
推しのぬいぐるみに重ね合わせている(投影している)のです。
「愛情を投影するのはぬいぐるみじゃなくてもいいのでは?」
「推しのグッズはぬいぐるみ以外にもあるけれど…」
この様に思う人もいますが、
愛情を投影する絶好の対象がぬいぐるみなのです。
これだけ推しのぬいぐるみが増えているのは、
ぬいぐるみが持つ効果を無意識に感じているからなのです。
次にぬいぐるみ心理学の視点から、
ぬいぐるみが持つ心理効果を解説します。
ぬいぐるみは安心感を与えてくれる
ぬいぐるみは私たち人間にとって、
無条件の安心感を与えてくれる存在です。
臨床心理学の分野においては、
赤ちゃんが1歳前後になり母親の元を物理的に離れられる様になると、
ぬいぐるみやブランケット等を持ち歩くと言われています。
これは移行対象と呼ばれており、
それがあると母親の様な安心感を抱けたり、
不安を軽減してくれる存在だと言われています。
つまりぬいぐるみの好き嫌いを問わず、
ぬいぐるみは母親の様な安心感を与えてくれる存在なのです。
母親に気を遣う赤ちゃんはいないでしょう。
「今すごく泣きたいけど、お母さんの機嫌が悪いからやめておこう」
こんなこと、赤ちゃんは考えないですよね?
泣きたい時に泣き、
笑いたい時に笑い、
欲しいものは欲しいと主張していました。
ぬいぐるみの前では無意識のうちに、
本来の自分(ありのままの自分)をさらけ出せるのです。
私はぬいぐるみ心理学を開発する中で、
大人もぬいぐるみへ無条件の安心感を抱くことを突き止めました。
推しのぬいぐるみが近くにあれば、
それだけで安心でき不安を落ち着かせてくれるのです。
仕事、恋愛、友達、夫婦関係など、
どんな時も自分を支え見守ってくれる存在だと言えます。
ぬいぐるみの歴史
また歴史を振り返ると、
ぬいぐるみは古代エジプトの頃から存在したと言われています。
著書『ストレスフリー人間関係』でも解説していますが、
当時のぬいぐるみは今と異なり、
土やワラで作られていたとされていますが、
呪いをかけたり宗教儀式で使われていたとされています。
呪いや宗教儀式で使われているので、
ぬいぐるみは単なる物ではなく、
魂を持った存在だと考えられていたのです。
ぬいぐるみのルーツを振り返れば、
私たちがぬいぐるみに安心感を抱くのも、
無意識にぬいぐるみが生きている様に感じているからだと言えます。
「推しが近くにいる感覚を抱ける」
「推しのぬいぐるみを見ると元気がもらえる」
こうした声もよく聞きますが、
自分でも自覚なくぬいぐるみを生きている様に見立てているのです。
推しのぬいぐるみを持つ心理的効果
ここまでの話をまとめると、
推し活でぬいぐるみを持つ心理的効果として、
無条件の安心感があげられます。
推しのぬいぐるみを持つことで、
いつでも安心して過ごせますし、
リラックスしたり不安をやわらげることができるのです。
また魂を持った存在だと歴史的に考えられていたので、
推しを応援する愛情を投影する存在でもあります。
この点は他のグッズではなく、
ぬいぐるみだからこそ強く感じられると考えられます。
推しのぬいぐるみを持つことは、
推しを応援するだけにとどまらず、
日常生活で良い効果をもたらしてくれるのです。
ぬいぐるみへ依存するのは危険
確かにぬいぐるみが身近にあると、
安心感をもたらしてくれます。
ただしぬいぐるみへ依存してしまうと、
日常生活で悪影響が出てしまいます。
・ぬいぐるみの前でだけ自分を出せる
・推しのぬいぐるみがないと生きていけない
こうした状態が続けば、
仕事や私生活で問題が発生する可能性があります。
ぬいぐるみの世界だけで完結しており、
日常生活の悩みを悪化させてしまう可能性もあるのです。
ぬいぐるみを大切にするのは良いのですが、
依存してしまわない様に注意が必要です。
まとめ
推し活でぬいぐるみを持つ心理背景を、
ぬいぐるみ心理学の視点から解説しました。
年齢や性別に関係なく、
ぬいぐるみを持つ人は増えています。
推しのぬいぐるみを持つことは、
メンタル面でも良い効果をもたらします。
また推しのぬいぐるみだけに限らず、
最近では有名人がぬいぐるみを持つのを公言するケースも増えています。
今回は推し活を取り上げましたが、
ぬいぐるみを持つことで多くの好影響があるので、
ぬいぐるみの可能性が一層広がれば私も嬉しいです。
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このコラムの執筆者
伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
2人兄弟の長男として生まれ、幼い頃から50体以上のぬいぐるみがある部屋で育つ。
早稲田大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。
在学中は教育学、コミュニケーション、心理学に専念する。
人間関係の悩みを根本から解決する有効な手法として、ぬいぐるみ心理学という独自の理論を開発。
これまで7年間で5000名以上のお客様にぬいぐるみ心理学を提供。性別・年齢・職業を問わず多くが効果を実感しており、日本全国はもちろん、世界からも相談が後を絶たない。
2014年10月から始めたブログは、今では1000以上の記事があり、月に13万以上のアクセスがある。
2017年11月には株式会社マイルートプラスを設立。
心理コミュニケーションアドバイザーとして、受講者とぬいぐるみ心理学を通して実践的な関わりを続け、それぞれの「望む未来」の実現の手助けをしている。
2020年、初の著書『ストレスフリー人間関係〜ぬいぐるみ心理学を活用してあなたの人間関係の悩みを活用する方法〜』を出版。増刷しロングセラー中である。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を発売。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページでぬいぐるみ心理学が特集されるなど、活動の幅が広がっている。