26Jun
[最終更新日]2021/07/28
こんにちは、伊庭和高です。
今日は心理学でも有名な法則の1つ、
返報性の原理を取り上げます。
私も学生時代に心理学のテクニック本を読み、
真っ先に紹介されていました。
好意の返報性とも呼ばれていますが、
心理学では有名な法則ですし、
『影響力の武器』という本で紹介されたことで、
日本でも一気にメジャーになりましたよね。
返報性の原理はビジネスシーンでよく取り上げられ、
マーケティングや交渉術を語る際にもよく出てきます。
ですが本来はビジネスシーンにかかわらず、
恋愛や夫婦関係や人付き合い全般に応用できる理論です。
目次
返報性の原理とは?
返報性の原理とは、
人は何かをされた時に、思わずお返しをしたくなるというもの。
正確に言えば「お返しをしないと申し訳ない」と思わせる心理です。
・何かをしてもらいっ放しではモラルに反する
・お返しをしないと気分が悪い
この様に返報性の原理とは、
社会的なモラルや人間の感情に訴えかける法則です。
返報性の法則は、「好意の返報性」とも呼ばれています。
何かしらの好意を受けたら、それと同等かそれ以上の好意をお返ししないとと思う心理が働くのです。
好意についての具体例は後述しますが、
時代を問わず普遍的に存在する人間の心理だと言えます。
返報性の原理が働く身近なシーン
返報性の原理については、どんな分野でも当てはまります。
代表的なのがスーパーの試食。
先にお店側が無料で試食をさせているのです。
試食をしたことで、「何も買わずに帰るのは申し訳ないな…」とお客さんに思わせるのです。
試食した商品を買ってしまうこともあれば、
試食した商品は買わずとも買い物の総額が増えることもあります。
「先に相手に与えることで、結果的に相手から多くの利益を得る」
スーパーの試食は、返報性の法則をフル活用しているのです。
仕事における返報性の原理の活用例
冒頭でもお伝えした様に、
返報性の原理はビジネスシーンでもよく使われます。
たとえば営業先に訪問する時に持参する手土産。
相手は決して手土産を欲しいと思っておらず、
こちらから先に手土産を与えているのです。
新規訪問であれば「門前払いは悪いな」と思わせ交渉に持ち込みやすくなります。
継続顧客であれば「いつも良くしてもらってるから」と好印象を与えやすくなります。
また何かにつけて同僚にプレゼントをするのも、
返報性の原理を活用していると言えます。
「この人に悪くしては申し訳ないな」と、
相手の心情に働きかけているのです。
上司から気に入られたり出世する上でも、
返報性の原理が役立つこともあるのです。
人間関係における返報性の原理の活用例
先ほど解説した仕事の事例は、
場面を変えて様々な人間関係で見られます。
先に何かをしてあげることで、
相手にお返しをしないとと思わせることができます。
たとえば引越し時に隣近所に贈り物をするのも、
返報性の原理をフル活用しています。
贈り物が欲しいと相手が思っていなくても、
先に何かを与えることで優位に立とうとしています。
「この人には優しくしないとな…」
「何かあっても多めにみてあげよう…」
返報性の原理によって、自分に有利な状況を引き出しているのです。
恋愛における返報性の原理の活用例
もちろん恋愛においても返報性の原理は活用できます。
気になる相手に優しくしてあげることで、
「告白したら付き合わないと申し訳ないな」と思わせるテクニックもある程です。
自分から手伝ってあげたりと、
まず相手に何かを与える姿勢を取ることで、
相手はあなたに何かしらのお返しをしてくれます。
これを繰り返す内に相手と関わる機会が増え、
気づけば親密になるケースもあります。
ちなみに恋愛で返報性の法則を活用する方法はこちらの記事で具体的に解説しています。
ここまで紹介した方法を使えば、
目先の成果は生まれるかもしれません。
でも、ちょっと待って下さい。
返報性の原理には思わぬ落とし穴があります。
今回は落とし穴と正しい使い方について、
ぬいぐるみ心理学の視点からお伝えします。
返報性の原理の落とし穴
まず大きな落とし穴としてあるのが、
相手に抱かせる罪悪感です。
「何かサービス買わないと悪いな…」
この様に思ってサービスを買った人は、
果たしてそのサービスをリピートするでしょうか?
・
・
・
まぁ、しないですよね。
罪悪感からサービスを購入しても、
何度も購入してくれるファンにはならないでしょう。
一度切りの関係で終わりますし、
むしろ後味の悪さを残してしまうかもしれません。
狙って返報性の原理を使えば、
相手に残るのは「後味の悪さ」だけ。
よほど自分やサービスに自信があって、
「もうヤバい!」と思わせるくらいの魅力があるなら別ですが、
仕事でも恋愛でも、積極的に使うのはオススメしません。
「無理して」好意を伝え続けると損をする!
そして返報性の原理を狙って使っている人は、
ほぼ100%自分を偽っています。
本当に、心からしたいわけではなく、
「相手の目を気にして」好意を伝えているわけです。
ただしこれでは相手にあなたの魅力は伝わりません。
仕事であれば長年続くお客さんとの関係ならまだしも、
新規営業ではあなたの魅力が伝わりません。
商品の魅力はもちろんですが、
それ以上に担当者の想いが伝わるか。
「確かに良い人ではあるんだけど、
何を考えてるのか今イチつかめないな…」
こんな風に思われてしまう可能性もあるのです。
また恋愛であれば、付き合うことはできるかもしれません。
ですが付き合ったということは、
好意を伝えてくれるあなたに相手は惹かれているということ。
付き合っても、結婚しても、
返報性を意識して自分を偽り続けなければいけません。
「付き合ったんだから、本当の私も愛してね」
これは無理があります。
「私が好きなのは付き合う前のあなたであって、
本当のあなたは今までのイメージと何か違う。」
こう思われても仕方ないのです。
長い目で見ればデメリットばかり!
返報性の原理を使うことで、
一時的には結果を得られるでしょう。
営業であれば商品を購入してもらえたり、
あるいは上司から評価されるかもしれません。
恋愛ならば相手が好意を抱いてくれ、
付き合うこともできるかもしれません。
返報性の原理を使ったことによる見返りは、
目先のことだけを考えればあります。
ですが長い目で考えれば、
デメリットが待っています。
一時的には商品が売れても、
何度も返報性の原理が使えないかもしれません。
継続的に商品を購入してもらえなかったり、
「買わされた!」とクレームを言われるかもしれません。
あるいは返報性の原理によって
上司から評価を受けたとしても、
返報性の原理を使う限り、
自分を偽り続けなければいけません。
恋愛にしても同じで、
自分を偽った状態で付き合うことになります。
ストレスや気疲れをため込んでしまい、
長い目で見ればデメリットが大きいのです。
1度や2度使うならまだしも、
返報性の原理を多用し過ぎると、
どこかで反動が襲って来るのです。
実際、過去の私もそうでした。
過去の私は自分に自信が持てず、
コミュニケーションのテクニックばかり読み漁っていました。
返報性の原理についても本で読み、
対人関係で使って効果もありました。
ですがどれだけ効果を実感できても、
返報性の原理を意識し続けていると、
どこか無理して自分を演じている感覚が残りました。
返報性の原理を使ったことで、
実際のところ彼女もできました。
ですが彼女の前でも自分に自信がなく、
良い子を演じて関わり続けていたので、
結果的に長続きすることはなかったのです。
私はぬいぐるみ心理学において、
すべての悩みの原因は自信のなさであると解説しています。
返報性の原理に頼り過ぎたり、
そもそもテクニックを多用し過ぎるのも、
背景には自信のなさがあります。
確かに一時的にはメリットがあるものの、
長い目で見ればデメリットばかり。
「返報性の原理が効かない」と思い込み、
さらにテクニックに走ってしまう恐れもあります。
自信のなさとは何なのかは無料メール講座でも解説していますが、
自信のなさと向き合わなければ、
本当に望む結果は得られないのです。
なお私は、自分の自信のなさの度合いを診断する心理テストを開発しました。
12個の質問(二択)に答えるだけで、
自信のなさをどれだけ感じているかが判明します。
自信のなさから返報性の原理を使っても、
理想の成果は得られないことが多いです。
現状を知る上でも、ぜひやってみてください。
相手に意識を向ける状況を手放す
ではどうすれば自信のなさと向き合えるのか?
ポイントは「まず自分に意識を向けること」です。
返報性の原理を使おうとしている時ほど、
相手にばかり意識を向けてしまいます。
◆どうすれば相手が喜んでくれるのか?
◆相手から望む反応を引き出すにはどうすれば良いか?
相手のことばかり考えているのです。
ですがどれだけ相手のことを考えても、
相手の本心は相手にしかわかりません。
相手のことを考え続けているのは、
正解のわからない問題を解いている様なものです。
何より相手のことばかり考えて
自分を偽って関わってしまえば、
それこそデメリットの始まりです。
大事なのは「まず自分に意識を向けること」
◆自分がどうしたいのか?
◆相手とどう関わりたいのか?
◆何を伝えたい(聞きたい)のか?
自分を主語にしながら問いかけることで、
返報性の原理に頼ることなく、
本当に望む成果を出せる様になります。
お客様の声を紹介します
そしてここからは、
自信のなさと向き合ったことで、
返報性の原理に頼ることなく
理想の結果を出すことができた
お客様の声を紹介します。
神奈川県在住の高田さん(女性)は、
返報性の原理について調べている時に
偶然私のサイトにたどり着きました。
=====ここから=====
私は営業職をしているのですが、
お客様や職場の同僚と関わる上で、
少しでも良い反応を引き出したいと思い、
返報性の原理について調べていました。
「テクニックが知れれば良いな」
最初は軽い気持ちで読んでいたのですが、
伊庭さんの書いている内容を読む内に、
私のことが言い当てられている様な気がしました。
確かに私は仕事を始めてから、
使えそうなテクニックを調べ、
仕事で活用して来ました。
結果が出る時もあったのですが、
仕事から帰宅するとドッと疲れが出てしまう状況。
しかも結果が出たことのプレッシャーから、
「新たなテクニックを調べないと」と焦り、
次から次に本を読み漁っていました。
仕事で結果が出ても、
むしろ疲れは増すばかりでした。
「自分を偽っている」
「悩みの原因は自信のなさ」
伊庭さんのこの言葉を見た時に、
ハッとさせられました。
「今後もテクニックを学び続けても、
心から満たされることはない」
心のどこかで私も気づいていました。
テクニックを学ぶことではなく、
もっと根本から変わらないとダメだと実感しました。
=====ここまで=====
高田さんに起こった変化
私は高田さんのお話を聞きながら、
まず自分に意識を向けることの大切さを伝えました。
その上で高田さんの現状を踏まえ、
高田さん個別のトレーニングメニューをお伝えしました。
=====ここから=====
伊庭さんと実際にお話して気づいたのは、
私は周りのことばかり考えていたということ。
周りの様子を気にしながら、
自分よりも周りありきで行動していました。
周りのことばかり考えていたから、
テクニックを使って成果を得ようとしていたのでしょう。
仕事でも恋愛でも友達関係でも、
周りありきで考えていた状況は、
これまでの人生で形を変えて続いていました。
伊庭さんのお話を受けて、
まず自分に意識を向けることを実行しました。
「自分を主語にしながら問いかけること」
簡単そうに思っていたのですが、
これが意外と難しい。
意識しないと自分よりも
周りのことを考えてしまいました。
ですがコツコツ取り組む内に、
日々の生活にも変化が生まれました。
まず、仕事終わりの気疲れが激減したこと。
今までは家に帰ると疲れ果てて、
倒れ込む様に寝てしまうこともありました。
ですが自分に意識を向けた結果、
家に帰っても体力気力が余っており、
自分のしたいことに時間を使える様になりました。
職場でも自分を偽ることがなくなり、
自然な状態で関われる様になりました。
そして営業でも自分に意識を向けたことで、
結果的にお客様と良い関係を築ける様になりました。
リピート率も向上しましたし、
クレームを受けることが1件もなくなりました。
結果としてテクニックを一切使っていないのに、
営業成績は以前よりアップしました。
仕事もプライベートも充実しているのは、
自分に意識を向けられる様になったからだと思います。
=====ここまで=====
本当に望む成果を出す
すべての悩みの原因は自信のなさ。
自信のなさと向き合いながら、
まず自分に意識を向けることで、
悩みも解決し本当に望む成果が出る様になります。
返報性の原理を多用せずに、
むしろ今まで以上に良い成果が出る様になります。
何より自分を偽ることもなくなるので、
ストレスを抱えずに過ごせる様になります。
仕事でもプライベートでも、
自分に意識を向けることによって、
理想の毎日が実現し始めます。
自信のなさと向き合う上で、
さらに具体的なポイントについては
無料メール講座でも解説しています。
合わせて学んでください。
本日も最後まで読んで下さり、
ありがとうございました!
このコラムの執筆者
伊庭 和高(いば かずたか)
千葉県千葉市出身。
2人兄弟の長男として生まれ、幼い頃から50体以上のぬいぐるみがある部屋で育つ。
早稲田大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。
在学中は教育学、コミュニケーション、心理学に専念する。
人間関係の悩みを根本から解決する有効な手法として、ぬいぐるみ心理学という独自の理論を開発。
これまで7年間で5000名以上のお客様にぬいぐるみ心理学を提供。性別・年齢・職業を問わず多くが効果を実感しており、日本全国はもちろん、世界からも相談が後を絶たない。
2014年10月から始めたブログは、今では1000以上の記事があり、月に13万以上のアクセスがある。
2017年11月には株式会社マイルートプラスを設立。
心理コミュニケーションアドバイザーとして、受講者とぬいぐるみ心理学を通して実践的な関わりを続け、それぞれの「望む未来」の実現の手助けをしている。
2020年、初の著書『ストレスフリー人間関係〜ぬいぐるみ心理学を活用してあなたの人間関係の悩みを活用する方法〜』を出版。増刷しロングセラー中である。
2023年10月に三笠書房・王様文庫より『声に出すだけでモヤモヤがすっきりする本〜たった5秒のメンタルケア〜』を発売。
『女性自身』(2023年9月19日号)にて、カラー8ページでぬいぐるみ心理学が特集されるなど、活動の幅が広がっている。